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「ねぇねぇ」
「何?」
「僕が思うにそろそろ僕は仕事をしないといけないと思うんだよね」
「ふぅん」

「君が死神だなんて、一体誰が決めたの?」

「君は確かに僕の中では死神だけど、君は本当に死神なのかな?」
「……どういうこと?」

「実はね。僕は狂ってるのかもしれないんだ」
「へー。どうして?」

「この部屋を見てごらんよ。家具も壁も床も全部、白く塗りつぶされていて、窓は一つもない」
「うん。そうだね」
「こういう部屋にはどんな人がいるのか分かる?」
 真っ黒な少年は少し考え込んでから、ぽんと手を叩き、答えました。
「『お前みたいなイカレた野郎は窓のない部屋にでも一生押し込められてりゃいいんだ!』って君が読んでた本にあったね!」
「そう。ここは精神病院で、僕は頭のおかしい患者なのかもしれない。だとすると、時折そこの扉から来る人達にも説明がつく」
「お医者さんなんだね!!」
「そういうこと」
「だから、君は僕の妄想なのかもしれない」
「でもそれにも証拠はない」
「もしかしたら君は本当に死神なのかもしれないし、僕が生み出した単なる幻なのかもしれない」
「僕が今ここに存在するということさえも、僕に対して証明することは誰にもできないんだよ」
「でも今、君はここにいるよ?」
「君がそうやって僕の存在を肯定しているということも、僕が見て聞いているからこそ僕は知りえているんだ」
「つまり、僕は僕の頭を一度通して、君と君の意見を見ているってことさ」
「ほら、考えてもみてよ。もし僕の感覚が全部無いとすると、目の前にいる君を僕はどうやって認識すればいいの?」
「そんなの簡単だよ。だって、目の前に僕はいるじゃん!!」
「だから、その目が使えなかったらってことだよ」
「僕が得ることのできる情報は、一度僕の頭を通しているんだ。そして、僕の頭の中で情報が捻じ曲げられていないとも限らない」
「どうして?」
「言っただろ? 僕は狂ってるのかもしれないって」
「ほら、君は君が死神だってことはおろか、君が僕の前にいることだって証明はできないんだ」
「僕は僕でここにいるよ? 君に生み出されたわけじゃないよ?」
「それどころか僕自身が君に生み出された幻なのかもしれないのに?」
「僕が君の目の前にいるってことを、君はどうやって君自身に証明するのさ?」
「本当は君一人しかいないかもしれないのに?」
「君が死神であることなんて、君が僕を“かみさま”と呼ぶぐらいの事実でしかないんだ」
「じゃあ、やっぱり君は“かみさま”なんだね!!」
「……どうして?」
「だって、僕は死神で、君は“かみさま”だって信じてるからね!!」
「そうだね。君がそう思うのなら、少なくとも君の世界では僕は“かみさま”だ」
「だよね!!」

「あれ? それで結局、僕は死神でいいの? 違うの?」
「僕の世界では君は“死神”だよ。……少なくともね」
「分かんないよー」
「……でも、それで十分なんだよ」
「え? どうして?」

「だってこの部屋には僕達しかいないんだから」

▼捕まったのは誰?

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